ロボアドバイザーは、人工知能やアルゴリズムを活用して、投資家の運用目標やリスク許容度に合わせたポートフォリオを自動的に構築するサービスです。このサービスは、近年ますます人気が高まっており、専門会社に加え、多くの金融機関や証券会社が提供しています。ロボアドバイザーには、様々な種類があります。例えば、完全自動型や半自動型などがあります。完全自動の投資一任型の場合、人工知能が市場分析や投資アルゴリズムの選択を行います。一方、半自動の投資提案型は、投資アドバイザーが提供する情報や分析を基に、投資家が自分でポートフォリオを構築することができます。
ロボアドバイザーを選ぶ際には、いくつかの注意点があります。まず、自分自身の運用目標やリスク許容度に合ったロボアドバイザーを選ぶことが重要です。また、手数料や運用実績などもチェックする必要があります。さらに、ロボアドバイザーを利用する際には、投資家自身が市場や投資についての知識を深めることも大切です。これらの注意点を踏まえた上で、自分に合ったロボアドバイザーを選び、効果的に活用することが、投資成功への近道となります。
私の場合は、現在もWealthNaviを利用しています。私が始めた2019年当時、ロボアドバイザーは、種類も少なく少し不安な面もありましたが、起業者のミッションや考え方に共感し、幅広い分散投資を行えるこの会社を選ぶことにしました。今回は、私の今までの実績も含めどのような視点でロボアドバイザーを選定すべきかについて考察にしたいと考えています。
主なロボアドバイザー
私が始めた頃は数が少なめのロボアドバイザーが、今では数多くのロボアドバイザーが存在するようになってきています。まずは、その中でシニアにもおすすめの投資一任型ロボアドバイザー3選と投資提案型ロボアドバイザー2選を紹介します。
なお、投資一任型の場合、完全に放置してもロボアドバイザーが自動で運用してくれるため、投資初心者や投資にかける時間の余裕がない方などに向いています。また、投資提案型の場合、AIから投資先の助言やリバランスの提案はされるものの、最終的な判断は利用者本人が行います。
【投資一任型】
WealthNavi
WealthNaviは、日本でロボアドバイザーを最初にスタートした企業です。預かり資産が2023年7月4日時点で9,000億円に達し、運用者数も2023年3月31日で時点36万人を突破しているため、ロボアドバイザーの中では最も利用者が多い状況にあります。
手数料は、年率1.1%で長期保有割引で年率0.99%まで下がります。3,000万円以上ある場合は、3000万円以上からの手数料は年率0.55%になります。その他に、年率0.08%~0.13%程度のETF保有コストがかかります。
また、WealthNaviは、一般NISAにも対応しており、NISA口座を利用することで、最長5年間、投資で得た利益の税金が非課税になります。このため、投資家は、WealthNaviを利用することで、より効果的な節税対策を実現することができます。
さらに、特定口座を利用することで、「自動税金最適化(DeTAX)」という独自の税金負担最適化機能を自動的に利用することができます。この機能により、投資家は、より効率的な税金負担の最適化を実現し、より多くの利益を得ることができます。
THEO+ docomo
THEO+docomoの最大の魅力は、運用資産額に応じて毎月dポイントを獲得できることです。ポイント還元率は0.01%で、運用資産額1万円に対して1ポイントのdポイントが毎月還元されます。例えば100万円を預け入れた場合、月に100ポイントが還元され、年間で1,200ポイントが獲得できます。さらに、ドコモ回線を契約している場合、獲得するポイントが1.5倍になるため、docomoユーザーにとっては見逃せない魅力的な情報となります。手数料は運用資産額の最大1.10%(税込・年率)のみで、それ以外は一切かかりません。
THEO+docomoをdカードと連携させれば、dカードで買い物をした際の端数を「おつり」として自動的に積み立てる「おつり積立」という機能を利用することが可能です。
またTHEO+docomoには「THEO Tax Optimizer」という税負担を軽減する機能があります。機能が適用されるためには特定口座を利用している必要がありますが、節税したい方には魅力的だといえるでしょう。
やはり、ドコモユーザーやDカード愛用者にはお得なシステムであるのは間違いないかも。
ON COMPASS
ON COMPASSは、マネックス証券という大手証券会社が運営している投資一任型のロボアドバイザーで、初めて資産運用をする方や少額から始めたい方におすすめです。1回に投資できる金額は1,000円からとリーズナブルで、積立投資も一口1,000円から可能です。手数料は、預入資産の1.0075%のみです。
さらに、ON COMPASSには、退職金などのまとまった資金を運用しながら、定期的に引き出すことも可能なシニア向けプランなど4つの運用プランが用意されています。ご自身の目的に合わせて選ぶことができます。
ON COMPASSは、世界中の株式や債券、REITに投資が可能です。投資対象が多く分散投資が可能であるため、所有している金融商品が下落してしまった場合でも損失を最小限に抑えることができます。さらに、投資家のリスク許容度に合わせて運用方針を変更することもできます。ON COMPASSは、あなたの資産運用をサポートする頼もしいツールといえます。
退職金などのまとまった資金を運用し、趣味や生活にかかる費用を定期的に引き出すシニア世代向けプランもありいいかも。
【投資提案型】
投信工房
投信工房は、老舗証券会社である松井証券が100年以上の歴史を誇る投資提案型ロボアドバイザーです。投信工房を利用すると、手数料は信託報酬のみの年率0.35%で、ロボアドバイザーを利用するための費用はかかりません。このような安価な利用料金や、一般NISA、つみたてNISAにも対応していることもシニアにとってはうれしいポイントとなることでしょう。
投信工房は、ポートフォリオの提案だけでなく、運用開始後の定期的なポートフォリオメンテナンスまで、無料で充実したサポートを提供しています。このため、初心者の方や、自分自身で投資を判断しながらアドバイスを受けたい方にもおすすめです。
投信工房を利用することで、少額から始めてみたい方も、手軽に投資を行うことができます。さらに、ロボアドバイザーのアドバイスを受けながら自分自身で投資を行うことができるため、初めての投資にも挑戦しやすい環境が整っています。
投資提案型ロボアドバイザーは、NISAに対応していて、手数料も安いので、投資経験者はチャレンジしてもいいかも。
SMBCロボアドバイザー
SMBCロボアドバイザーは、SMBC日興証券が提供する投資信託に特化した投資提案型のロボアドバイザーです。SMBC日興証券は、三井住友銀行が運営する三井住友フィナンシャルグループの証券会社であり、長年にわたり安定した運用成績を誇っています。
SMBCロボアドバイザーは、投資提案型のロボアドバイザーであるため、最終的な判断は自己責任で行う必要があります。ただし、運用コストは信託報酬の1.007%のみであり、他のロボアドバイザーと併用することも検討できます。また、投資信託は、三井住友銀行が扱っているものに限られますが、投資対象が幅広く、取り扱っている投資信託は1,024本と多いため、分散投資が可能です。
さらに、SMBCロボアドバイザーは一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの全てのNISA口座で運用できます。NISA口座は、最大で年間40万円まで非課税で投資ができる口座であり、将来の資産形成に非常に役立ちます。
選定の考え方
シニア世代の資金運用は、できる限りリスクを避けつつ、安定した運用成績を残すことが求められています。年齢や収入状況、リスク許容度、金融資産状況によっても投資戦略が違ってきます。投資にはリスクがつきもので、近年ではコロナショックで、元本を割るケースもあり得ます。このため、資金は余裕資金で行い、運用成績には一喜一憂せず、長期的視点でロボアドバイザーの運用を継続していくことが求められています。ロボアドバイザーの運用を継続していくためにも、以下の選定方針が重要となります。
資金運用にはどうしてもリスクがあるため、投資は自己責任といわれるのももっともね。
運用実績
ロボアドバイザーの運用実績を判断するには、長期的な視点で運用期間中の運用パフォーマンスをチェックすることが重要です。ただし、運用実績のみに注目するだけではなく、自分自身の投資目的やリスク許容度に合った運用方針を持つアドバイザーを選ぶことが重要です。
運用成績が優れている場合、高い運用報酬が発生する傾向があります。しかし、ロボアドバイザーの手数料は、高くても預入資産又は信託報酬の年率1.1%以内です。このため、手数料に加え、運用実績を重視した企業選択もロボアドバイザーを選ぶうえで、重要な判断材料のひとつとなると考えています。
私の場合はWealthNaviを利用おり、2019年12月から始めて、2023年8月現在、運用実績は原資の1.5~1.6倍の範囲内で推移しています。
リスク許容度
シニア世代にとっては、リスク許容度をどうするかを決めておくことも大切です。自分自身の運用目標やリスク許容度に合わせた運用方針を選ぶことが重要です。また、ロボアドバイザーが投資対象とする商品はETFが主流です。投資対象商品の種類や分散度合いなどをチェックすることが重要です。
一方、投資一体型ロボアドバイザーは、投資を始める前に年齢、年収、金融資産などの簡単な無料診断を受けることになります。これにより、AIがリスク許容度を判断した上で、あなたに合ったポートフォリオを作成してくれます。シニア世代には、比較的リスクが低い債権比率の高いポートフォリオをおすすめします。さらに、積立や一部解約などで資産を売買する際、資産のバランスが崩れないよう、自動で調整(リバランス)しながら最適な状態に近づけてくれます。
それに対し投資提案型ロボアドバイザーは、基本的に自分自身でポートフォリオを決定します。リバランスも同様で難易度が高くなるため、リスク管理のできる投資経験のある方が有利になります。
NISA対応
投資によって利益を得た場合、通常は利益に対して20.315%の税金を支払わなければなりません。しかし、NISAを利用して資産運用する場合、生じた利益には税金がかかりません。一般NISAやジュニアNISAでは5年間、つみたてNISAでは20年間、制度の範囲内での運用が非課税になります。
ただし、すべてのロボアドバイザーがNISAに対応しているわけではありません。今回紹介したものでは、次のNISAサービスが対象となります。
WealthNaviは一般NISA、投信工房は一般NISA、つみたてNISA、SMBCロボアドバイザーは一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAのすべてのNISA口座で運用可能です。2024年1月からは新NISAが導入される予定です。この制度は税金面で非常に有利になるため、新NISAに対応するロボアドバイザーも増えることが予想されます。
税負担の最適化機能
通常、ロボアドバイザーの投資で年間で最終的に利益を得た場合には、納税の義務が生じます。しかし、ロボアドバイザーの資産運用で生じた利益と損失をAIが自動的に相殺することで、税金を最適化する「税負担の最適化機能」があることをご存知ですか?
この「税負担の最適化機能」があるロボアドバイザーを利用すれば、税金の計算などを自動で最適化することができます。現在、この機能を備えたロボアドバイザーは、WealthNaviとTHEO+docomoの二つがあります。
この便利な機能を活用することで、不必要な税負担をなくし、投資による利益を増やすことでより効率的な投資が可能になります。
まとめ
投資一体型ロボアドバイザーは、自動的にポートフォリオを組み立てるサービスです。AIが自動でポートフォリオを作成し、投資に関する知識や経験が少ない方でも効率良く資産運用ができます。利用者の代わりにAIが投資先の提案や自動で資産運用をしてくれます。
一方、投資提案型ロボアドバイザーは、投資一体型に比べ手数料も安い場合も多くですが、基本的に自分自身でポートフォリオを決定します。初心者には少し難易度が高く、リスク管理のできる投資経験向きのシステムになります。
選ぶ際には、運用実績や運用方針、運用対象商品などをチェックすることが重要です。また、自身のリスク許容度に加え、NISA対応や税負担の最適化機能も理解しておく必要があります。
多くの企業がロボアドバイザーサービスを提供しているため、どれを選べば良いか分からない方も多いと思われます。この記事を参考に、シニア世代に合ったロボアドバイザーを選んで、効率的な資産運用を行っていくのはいかがでしょうか。