トランプ氏は今年1月20日に米国大統領に就任予定です。今年1月7日の記者会見では、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改名する意向を表明し、その理由として「我々のものだから」と主張しました。
また、同日トランプ次期大統領は、デンマークの自治領グリーンランドをアメリカの領土とすべきだと主張しました。これに対し、ブリンケン国務長官は「グリーンランドに関する提案は適切ではない」と否定的な見解を示し、ヨーロッパ各国からも批判の声が上がっています。

さらに、ロイター通信によると、トランプ次期大統領は7日、米国がパナマ運河の管理権を取り戻しの他、カナダとの合併やデンマークの自治領グリーンランドを獲得する意欲を示しています。

こうした行き過ぎた発言は、この先のトランプ外交への不安を増幅させており、大統領就任以降の外交がどのように展開されるかが関心を呼んでいます。

トランプ次期大統領のこうした発言には本当に驚きますね。今後も彼の発言動向には十分な注意を払う必要があるでしょう。
今回の記事では、大統領就任以降のトランプリスクと株式・為替市場への影響について、考察してみたいと思います。
三大リスク
トランプ次期大統領の政策には、バイデン大統領の政策と比較して、市場に重大な影響を及ぼしうる3つの主要なリスク要因があります。これらは市場の安定性と経済の持続可能性の観点から、投資家の間で高い関心を集めています。
トランプ減税
トランプ減税とは
トランプ氏の減税政策案の柱は、個人所得税の恒久的な引き下げと法人税率の削減です。具体的には、現行21%の法人税率のさらなる引き下げに加え、投資家向けの金融商品売却益(キャピタルゲイン)や配当収入への課税軽減を検討しています。これらの政策変更は、企業活動と投資行動に大きな影響を与える可能性があります。
市場への影響
この大規模減税の実施は、短期的に株式市場にとってプラス要因となり、投資家から歓迎されるでしょう。しかし、この政策には重要な課題があります。まず、大規模減税は財政赤字を著しく拡大させ、長期金利の上昇を招く恐れがあります。
インフレ圧力
この減税による経済刺激は消費需要を持続的に押し上げ、想定以上のインフレ圧力をもたらす可能性があります。これらの副作用が経済の長期的な安定性に与える影響については、慎重な検討が必要です。FOMC(連邦公開市場委員会)は2025年中の利下げ予想回数を4回から2回へと引き下げましたが、インフレ圧力が高まれば、利下げの見直しも考えられます。
トランプ関税
トランプ関税とは
トランプ次期大統領は、大規模な輸入関税措置を提案しています。中国からの輸入品には最大60%の関税を課し、その他の国々にも10〜20%の関税を検討しています。昨年11月には、中国からの輸入品に10%、カナダやメキシコに25%の追加関税を課すと表明し、これら両国との貿易関係への影響が懸念されています。

関税政策は、日本にとって最も重要な課題の一つといえます。輸入品に10%程度の関税が課されれば、多くの日本企業に大きな影響を及ぼすことが予想されます。
インフレ圧力と世界経済への影響
この大規模な関税措置は、経済や市場に深刻な影響をもたらす可能性があります。輸入品の価格上昇は直接的なインフレ圧力となり、消費者物価を押し上げる恐れがあります。また、各国が報復措置を講じれば、貿易摩擦が激化し、世界経済の減速につながりかねません。
交渉カードとしての可能性
トランプ次期大統領は、これらの関税を相手国との交渉カードとして活用する可能性が高いとみられています。関税実施による株価急落は政権にとって望ましくないため、最終的には双方の利害を考慮した妥協点が模索されるでしょう。過去の例からも、当初の強硬姿勢は穏健な政策へと修正される可能性が高いと考えられます。
移民の規制強化
不法移民の強制送還
不法移民の強制送還は、法的な問題はないものの、実務面で多くの課題があります。人間を扱う問題であるため、単なる行政手続きでは対応できない複雑な状況が生じます。強制送還には、対象者の特定、拘束、輸送、一時収容施設の運営など、膨大なコストと人材が必要で、その予算確保には議会の慎重な審議と承認が不可欠です。
送還後の対応の難しさ
送還先国との外交交渉や受け入れ体制の整備も重要な課題です。特に米国生まれの未成年の子を持つ親の送還は、家族分離や子どもの権利保護など、深刻な人道問題を引き起こします。また、送還後の現地での生活支援や再統合プログラムの実施も十分な検討が必要です。
雇用問題や市場への悪影響
経済への影響も看過できません。米国の労働力の4%以上を占める不法移民は、農業、建設、飲食、ホテルなどの産業で重要な役割を果たしています。急な規制強化は深刻な人手不足を招き、雇用問題と株式市場への悪影響が懸念されます。

米国の労働市場では、業種によっては移民労働力に依存せざるを得ない産業が存在します。特にAIによる自動化が難しい分野での人手不足は、今後さらに深刻化すると考えられますね。
最後に
トランプ次期大統領の就任に伴い、経済政策の大幅な転換が予想されています。具体的には、大規模な減税政策を軸に、対外的な関税強化政策、国内での移民規制強化など、これまでにない積極的かつ大胆な経済政策が提示されています。これらの政策は、アメリカ経済の方向性を大きく変える可能性を持っています。
これらの経済政策は、国内外の株式市場に重要な影響を与え、市場参加者の間で活発な議論を引き起こしています。特に保護主義的な貿易政策への転換は、グローバル経済の構造的な変化をもたらし、世界経済の成長率に影響を及ぼす可能性があります。

関税強化政策が実行されると、長年築き上げてきた国際的な経済関係にも大きな変革をもたらすことが予想されますね。
トランプ次期大統領の挑発的な発言は、関税や移民規制強化策を有利に進めるための交渉戦術である可能性が指摘されています。アメリカンファーストを掲げるトランプ氏は、今後も国際社会に波紋を投げかける発言を続けると予想され、その度に市場が大きく反応する可能性があります。
免責事項:株式市場は、政治、経済、社会など、様々な要因が複雑に絡み合って変動するため、将来の株価を正確に予測することは極めて困難です。本情報は、一般的な情報提供のみを目的としており、特定の投資行動を推奨または勧誘するものではありません。投資に関する判断や決定は、必ずご自身の責任において行ってください。
《参考情報》

