資金運用(企業評価編)

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これまでの一連の記事では、新NISAを活用した安全な投資方法に焦点を当ててきました。その内容は、可能な限りリスクを避けつつ確実なリターンを求める方法についての考察が主でした。今回は、視点を少し変え、個別株を購入する際の投資対象企業の評価方法について深く考察します。

投資は人生のさまざまな段階で必要とされ、特にシニア世代にとっては一層重要です。シニア世代の投資では、第一に安全性が求められます。これは、退職後の生活を支えるための資金源となるからです。そのため、定期預金や国債などのリスクが低い投資が一般的に選ばれます。これらの投資方法は、元本割れのリスクを最小限に抑えつつ、一定の利益を確保できるため、損失を避けたい人にとっては最適な資金運用方法と言えます。

しかし、シニア世代でも新NISAの活用による資金運用が増えてきています。50代や60代の人々を中心にその動きが広がっています。新NISAつみたて枠を利用した投資信託が最も一般的な選択肢ですが、新NISA成長枠を活用した個別株の購入も増えてきています。

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私は投資企業の分析がとても好きです。それは、大学院で学んできた統計学や経営学を実際の投資に活かせるからです。これらの知識を駆使して、企業の財務状況やビジネスモデルを理解し、データ分析を行っていますね。ただし、ここで紹介する企業評価の実践者は少ないと感じています。

今回は個別株の購入について深く掘り下げ、投資対象となる企業の評価方法と視点について具体的に解説します。

企業の評価方法

個別株の購入方法は、人それぞれ差があり、千差万別と言えるでしょう。その選択は個々の投資目標、リスク許容度、資金力、経済状況の理解度などにより大きく左右されます。この種の投資は、一般的な節約や貯蓄とは異なり、リスクとリターンのトレードオフを理解することが必要です。ここでは、筆者自身が実践している、自分の資金を最大限に活用し、リスクを管理しながら利益を追求する投資企業の評価方法を紹介します。

定量評価

基本的な概念

数値や統計データを中心に行われる手法で、客観的に対象企業を評価します。主観や個人の意見に左右されず、客観的な評価が可能です。例えば、商品の売上高や営業利益などの具体的な数値を用いて、投資企業の業績を評価します。

重要性

意思決定や投資の根拠を確立する上で重要な役割を果たします。統計的な手法を用いるため、結果の信頼性が高く、リアルタイムで状況を把握できます。また、客観的なデータに基づく評価は、投資企業の経営状況の把握に繋がります。

定量評価は、数値を用いて企業の業績や財務状況などを分析する方法です。具体的には、以下の指標などが用いられます。

定量評価では、主に以下の指標を用いて企業を分析します。

財務諸表: 売上高、営業利益、経常利益、純利益、自己資本比率、自己資本利益率など
  • 売上高:企業の収益規模を表す指標
  • 営業利益:企業の収益性を表す指標
  • 純利益:企業の最終的な利益を表す指標
  • 自己資本比率:企業の財務体質の強さを表す指標
  • 自己資本利益率:企業の株主資本をどれだけ効率的に運用しているかを示す指標
株価指標: 株価、PER(株価収益率)、PBR(株価簿価率)、EPS(1株当たり利益) など
  • 株価:企業の市場評価を表す指標
  • PER:企業の株価がその利益水準に対して割高か割安かを判断するための投資指標
  • PBR:企業の株価が『1株当たりの純資産』の何倍になっているかを測る指標
  • EPS:企業の『1株当たり純利益』を示す指標
業界指標: 市場シェア、成長率、収益性など
  • 市場シェア:競合他社と比較して市場における企業の地位を評価するために使用される指標
  • 成長率:企業がどれだけ急速に成長し、時間の経過とともに予測される成長を示す指標
  • 収益性:企業の稼ぐ力で、経営や営業活動の良し悪しを判断する際の指標

これらの指標を分析・評価をします。この中で最も重要は指標は財務諸表の分析・評価となります。具体的な方法は、以前の記事で紹介した以下の方法となります。

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定性評価では、主に以下の要素について分析します。

  • 経営戦略: 経営理念、ビジョン、ミッション、事業戦略など
  • 経営陣: 経営者のリーダーシップ、経験、人材など
  • 企業文化: 組織風土、社員の意識、価値観など
  • 市場環境: 業界の動向、競争状況、顧客ニーズなど
  • リスク: 経営リスク、財務リスク、事業リスクなど

これらの要素を詳細に分析することで、企業の内部と外部の様々な要因を把握することが可能です。これには、企業の強みと弱みの理解、競争環境の認識、経済的、政治的、社会的な影響を考慮した将来性の評価が含まれます。これら全ての情報を総合的に評価することで、企業の現状と未来についてより深く理解できます。

定性評価のメリット
  • 数値化できない情報を分析できる
  • 企業の将来性を評価できる
  • 経営陣や企業文化など、定量評価では把握できない情報を分析できる
定性評価のデメリット
  • 主観的な判断に基づくため、分析者によって評価が異なる場合がある
  • 数値化できないため、比較が難しい
  • 定量評価ほど客観的な分析ができない

具体的な手法

企業分析における定性評価の手法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 3C分析:投資企業、顧客、競合企業を分析することで、投資企業の抱える課題や将来性の評価につながります。
  • SWOT分析: 企業の強み、弱み、機会、脅威を分析することで、競争優位性を評価することができます。
  • PEST分析: 政治、経済、社会、技術などの外部環境を分析することで、市場環境を把握することができます。

このような分析手法は、シニア世代の初心者にとって非常に難しいと感じるかもしれません。私自身は、お気に入りの身近な有名企業を選び、配当や株主優待を重視しています。安定した業績を持つ企業を中心に購入していますね。

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最後に

企業分析における定量評価と定性評価は、それぞれ異なる視点から企業を分析する重要な手法です。企業の現状を理解するためには、これらの評価を組み合わせて分析することが重要です。また、状況に応じてどちらを重視するかを使い分けることで、より精確な企業分析が可能になります。

具体的には以下のように活用します。

  • 業績や財務状況を分析したい場合: 定量評価
  • 経営戦略や企業文化を分析したい場合: 定性評価
  • 企業の将来性を評価したい場合: 定量評価定性評価を組み合わせて分析

定量評価と定性評価の分析結果を比較することで、より客観的かつ総合的な評価が可能です。

私が企業評価を行う際には、一般的には、有名企業に対しては定量分析を重視し、IPOやスタートアップなどの未上場企業に対しては定性評価を重視します。また、個別株の投資においては、その将来性を評価するために、定量評価と定性評価を組み合わせて分析することが多いですね。

【 参考情報 】

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