資金運用(安全資産編)

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シニア世代の資金運用について、これまでさまざまな方法を説明してきました。しかし、日本人の金融資産の約50%が預貯金で占められている現実があります。これは、投資と言えば、多くの日本人が高リスクなイメージを持っていることを示しているかもしれません。

シニア世代の資金運用
はじめに 「シニア」とは、このブログでは50歳以上の方を指します。この年代になると、子供の教育費や住宅ローンの支払いが終わり、老後の生活資金を考える必要が出てきます。そこで、この記事ではシニア向けの資金運用について考えてみたいと思います。 ...

それでも、安全資産は、高いリターンを期待できない代わりに、安定した収入や元本の保護を提供します。そのため、特にリスクを抑えた安全資産への移行は、「守る力や使う力」を重視すべき後期高齢者にとって魅力的な選択肢となります。

シニア世代の最適な運用方法は、安全資産を活用しつつ、個人の投資目標、投資期間、リスク許容度などにより異なります。それゆえ、自身の状況や目標に合った運用方法を選ぶことが重要です。

本記事では、安全性が高いとされる定期預金を中心に、国債や地方債、社債について考えてみます。これらの違いを理解し、自身の状況に応じた最適な運用方法を選び、年齢やライフスタイルに応じた安全資産運用へのスムーズな移行を目指しましょう。

定期預金について

定期預金は、一定期間資金を金融機関に預けて利息を得る金融商品です。これは特にシニア世代によく利用されます。金利は預ける期間や金融機関により異なりますが、一般的には長期間預けるほど高くなります。期間は数ヶ月から最大10年にまでの期間で設定されています。その間は金融機関が保証する利息を得ることができます。

定期預金は保険制度があるため安定した運用が可能で、金融機関が破綻しても預金保険機構が最大1千万円までの預金を保証する日本の制度があります。ただし、定期預金の金利は一般的に低く、市場環境や金融政策に影響されます。金利が低下すると定期預金の利息も低下します。

最近、三大銀行は5年以上の定期預金の金利を上げました。5年ものは0.070〜0.075%、7年ものは0.100〜0.125%、10年ものは0.200%と、従来より最大で100倍も高い金利です。国内の長期金利の上昇が影響しており、今後、金利の上昇や金融政策の方向転換があれば、預金金利がさらに上がる可能性があります。なお、ネット銀行では、直近では預ける期間によりますが、特にSBI新生銀行オリックス銀行の金利が有利なものになっています。

国債について

米国国債も有効な投資手段の一つですが、今回は為替リスクのない日本国債を考えてみます。最近の日本のインフレ傾向と相まって、長期金利が上昇しています。指標とされる10年物国債利回りは、物価上昇の影響で最近では最高0.75%ほどとなり、これは約10年ぶりの高水準です。

一般的に、個人向けにネットで購入可能な国債は毎月発売されており、3年、5年固定金利型と10年変動金利型があります。3年固定金利は現在も0.05%のままですが、直近では5年固定金利は0.18%、10年変動金利は0.40%となっています。変動金利は毎月変動する可能性があり、変動金利型国債は、購入後半年ごとに金利の見直しが行われます。

日本はデフレから脱却し、緩やかなインフレ傾向が続くものと予想されています。そのため、もし国債を購入するならば、現在の状況に最も適していると考えられるのは10年変動金利ですね。

個人向け国債は年数にかかわらす、1年経過すれば自由に解約できます。元本は保証されますが、直近1年分の利息は諦める必要があります。また、個人向け国債の購入は、通常ネットで購入しますが、取扱金融機関で直接買える「新窓販国債」がありますが、預入期間や金利等に若干の違いがあります。さらに、個人向け国債は、購入金額ごとにキャッシュバックを設けているところもあります。

10年ぶり利回り「個人向け国債」は買える水準か?
日本の長期金利が上がっている。指標とされる10年物国債利回りは、直近で0.75%ほどとなっており、これはおよそ10年ぶりの水準だ(下グラフ参照)。その背景を一言でいえばインフレ率が上昇しているからだ。(※外…
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こちらは、財務省の個人向け国債のWEBサイトです。個人の方が買いやすい安全で手軽な個人向け国債には、変動10年、固定5年・3年の3つの種類があり、それぞれの特徴をわかりやすく説明しています。また、現在募集中の個人向け国債の情報も掲載していま...

地方債について

地方公共団体(地方自治体)は、公共サービスの提供や地域の開発・改善を行うために資金を調達する必要があります。その一つの方法として、地方債の発行を行います。地方債は債券の一種で、投資家はこれを購入することで地方公共団体から利息を得られます。一方、地方公共団体は地方債の発行を通じて必要な資金を調達します。

地方債はその信頼性と安全性から、国債や政府保証債に次ぐ安全な投資先とされています。地方公共団体は公的機関であり、その運営は法律により厳格に規制されているため、地方債は非常に信頼性が高いと言えます。このような地方債には共同債個別債住民参加型債券の3種類があります。金利は、国債より高い金利で設定される場合が一般的です。

地方債の申込単位は10万円で、償還期間は通常5年や10年(満期一括償還)ですが、これは一部の例で、実際には団体によって発行形態が異なります。また、発行される地方債の種類や条件は、団体の財政状況や資金需要、市場環境等により変動します。

一般財団法人 地方債協会 -地方債のQ&A-

地方債を購入することは、投資家にとっては利息を得られる投資手段であり、地方公共団体の公共サービスの支援や地域の開発・改善に貢献するという意味もあります。つまり、地方債を購入することは、自身の資産運用だけでなく、地域貢献にもつながります。

購入先は、地方債を発行した自治体の指定した金融機関になります。募集期間が比較的短い場合や人気の高い債権も多いので、自治体のホームページ等で確認する必要がありますね。特に住民参加型債権は、ほとんどがそこに住んでいる住民や勤めている人が対象となりますので、注意が必要です。

社債について

社債は、一般の事業会社が発行する債券のことを指します。債券とは、発行体が投資家から資金を受け取り、満期までに利子を支払い、満期に元本を返す有価証券です。社債を発行することで、金融機関だけでなく、個人投資家を含む広範な資金提供を受けることが可能となります。

社債の利息は、設定された利率に応じて償還時までに支払われます。これらの利息の支払いは、通常年2回行われます。投資金額に対する利息を含む年間収益の割合を利回りと呼びます。社債の利回りは発行体の信用度や金利情勢に影響を受けますが、一般的には国債や地方債などの公債よりも高いです。

社債とは?株式との違いや種類、リスクや銘柄まで簡単に解説! | クラウド会計ソフト マネーフォワード
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社債の購入には信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクがあります。一般的に「社債」と言うと、普通社債を指しますが、他にも転換社債、ワラント債、劣後債、電力債があります。

社債を購入する場合は、つい金利の高さに目が行きがちですが、社債の目的やその会社の経営状況なども考慮に入れて、購入すべきであると思いますね。

社債に購入する際、最も重要なのは発行体の信用力に注意することです。債券は、発行体の信用力が高ければ利率が低く、信用力が低ければ利率が高くなる傾向があります。このため、利率よりも元本と利息を確実に支払えると判断できる発行体を選ぶことが重要です。

【2024年最新版】個人向け社債の利回りランキング|安定資産運用のすすめ | YANUSY
本記事では、個人向け社債の利回りランキングトップ10を紹介するとともに、安定した資産運用法についても解説します。

最後に

比較的安全な資産への投資でも、自身のリスク許容度や投資目標に合ったアセットアロケーション(資産配分)が重要です。シニア世代の人でも投資は長期的な視野で行い、以下の視点から定期的な見直しを行うことで、効果的な資産運用が可能となります。

  • 安全資産とリスク資産のバランスを考えます。安全資産のみでは収益性が低く、インフレリスクにも弱いです。一方、リスク資産のみでは価格変動による損失リスクが高まります。したがって、リスクとリターンのバランスを取るために、安全資産とリスク資産を適切な比率で組み合わせることが重要です。特にシニア世代では、年齢が上がるにつれて、安全資産の比率を高めることが推奨されます。
  • 安全資産の中でも、金利、期間、流動性などの特性を比較します。定期預金、国債、地方債、社債など、様々な商品が存在します。これらの商品の金利、期間、流動性などの特性は異なるため、自身の目的や期間に合わせて、最適な商品を選ぶことが重要です。
  • 安全資産の運用状況を定期的に見直します。長期的な運用でも、金利や景気の変動により、安全資産の収益性やリスク性が変わることがあります。例えば、金利が上昇すると、債券の価格は下がります。また、景気が悪化すると、社債などの発行体の信用度が低下する可能性があります。そのため、運用状況を定期的に見直し、必要に応じて資産の入れ替えや再配分を行うことが望ましいです。
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