私が投資を始めた当時は、ちょうどバブル期であり、日本経済も絶好調でした。株式市場も89年頃までは右肩上がりを続けていました。しかし、その後、バブルが崩壊し、日本経済は長いデフレ時代を迎え、株式市場も低迷が続くことになりました。このような状況下で、私は日本株には興味を失いかけていましたが、投資の勉強だけは続けていました。
投資の勉強方法は、主に投資本を読むことでしたが、何か物足りなさを感じていました。そこで、投資に役立つ資格を探し、ファイナンシャルプランニング(FP)技能士の資格を受験することにしました。試験範囲は、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継となっています。この勉強が、その後の私の資産運用に大きな影響を与えたことは間違いありません。
この経験が人生の分岐点となり、最終目標として私は社会投資家を目指すために公務員を早期退職し、大学で法律を学び、大学院ではMBAを取得しました。その間、株式投資は順調に推移し、シルバー世代において資産を大きく増やすことができました。
ここでいう社会投資家とは、投資を通じて社会課題の解決に貢献することを目指しています。そのため、投資先の事業内容や成果を評価する際には、経済的なリターンだけでなく、社会的リターン(社会課題を解決できる企業)も重視しますね。
そこで、今回の記事では「資金運用に役立つ資格」について考えてみたいと思います。
資金運用にはさまざまな方法や戦略があります。例えば、株式投資や不動産投資など、自分の資金を運用するための選択肢があります。さらに、資金運用の基本的な知識やスキルを身につけることも重要です。資金運用にはリスクが伴いますが、適切な知識やスキルを持つことで、リスクを最小限に抑えることができます。
シルバー世代で資金運用に関心がある方は、ぜひ次の「資産運用に役立つ資格」の取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ファイナンシャルプランナー(FP技能士)
この資格は、ファイナンシャルプランニング(FP)技能士です。FP技能検定には、1級、2級、3級の等級があり、それぞれに学科試験と実技試験が設けられています。FP技能士は、個人や家族の資産形成や将来設計に関するアドバイスを行うための資格であり、総合的な資産運用計画の立案や節税対策などを学ぶことができます。さらに、金融市場のトレンドや投資戦略の分析を行うことや、リスク管理や適切なポートフォリオの構築にも役立ちます。
FP技能士の取得には、金融や経済に関する広範な知識を学ぶ必要があり、実際の企業の決算状況等の分析にも役立ちます。また、法律や税制の改正にも常に注意を払い、最新の情報をキャッチアップしながら、投資に必要なスキルアップを図っていくことが大切となります。
FP技能士の取得は、専門的な知識や投資スキルの向上につながるだけでなく、個人の能力向上やスキルアップにも繋がります。この資格を通じて、自身の能力を高めることで、より多くの企業分析に役立てることができるでしょう。
私は、投資の勉強していたこともあり、すんなりと3級、2級試験に合格することができました。1級は専門家(ファイナンシャルプランナー)になるための試験であり、資金運用を理解するうえでは、2級までで十分であると考えています。
商業簿記
商業簿記の基本的な知識や技能を証明する資格として、日商簿記検定試験があります。この試験は1級から3級までのレベルがあり、2級では商業簿記と工業簿記の2科目が含まれます。商業簿記は、中規模の株式会社の経理担当者や経営者に必要な簿記知識が求められます。
商業簿記は、会社や企業の取引を正確に記録し、経済状況を把握するための方法です。簿記は会計の基本的なルールや原則に基づいて行われ、会社の経営や財務状況を評価するための重要なツールとなります。
商業簿記では、取引を日記帳や仕訳帳などの帳簿に記録し、会社の財務状況を反映させます。取引とは、商品の販売や仕入れ、給与の支払いなど、会社が日常的に行う活動を指します。収入や費用、資産や負債などの勘定科目を使用して取引を分類します。
商業企業とは、商品を仕入れて販売することで利益を得る企業のことで、小売業や卸売業などが該当します。商業簿記では、商品の仕入れや販売に関する取引を中心に、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成します。
商業簿記は、会社の経営者や株主、投資家などにとって重要な情報源です。正確な簿記は経営判断の基礎となり、会社の財務状況を客観的に分析することができます。
私の場合は、大学院でMBAを取得したため、商業簿記検定試験は受験していません。また、この検定試験で3級、2級を取得すれば、企業の決算の重要な指標の一つである貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)、キャシュフロー(CF)の財務諸表の理解を深めることができますよ。
宅地建物取引士(宅建士)
宅地建物取引士(宅建士)は不動産業界で重要な役割を果たす資格です。不動産取引に関する専門知識を持ち、売買や賃貸借契約の仲介などを行います。この資格を持つと不動産業界での就職や転職の機会が広がります。
宅建士は近年、最も人気が高い国家試験となります。その試験は不動産取引に関する法律(民法)や知識を問うもので、合格率毎年17%前後です。
宅建士の取得にはそれなりの努力が必要ですが、そのメリットも多いです。宅建士はシルバー世代でも、不動産業界での再就職や転職に有利に働くことは間違いありません。また、宅建士の資格を持つことで信頼性や専門性が高まります。さらに、独立することも可能で、不動産仲介業を開業するなどのキャリアパスもあります。
79歳で宅建試験に合格し、80歳で不動産会社を起業した和田京子さんが話題となりましたよね。
宅建士として活躍するためには継続的な学習と成長が必要です。不動産業界は常に変化しており、法律や市況も日々更新されます。ですので、宅建士は最新の情報にアンテナを張り、常に学び続ける姿勢が求められます。さらに、不動産業界のトレンドや市場動向にも注意を払い、専門知識を高めることが重要です。
私の場合は、両親が亡くなった後の相続や不動産投資を行うための必要な知識を得るために、宅建士の試験を受けることにしました。運よく1回目で合格できましたが、宅建士の登録をしていませんので、正確には、宅建士試験合格者となります。
最後に
資金運用に役立つ資格は多岐にわたります。特に、FP技能士、商業簿記、宅建士資格は、「投資に役立つ基本的スキル」が身につくものと考えています。これらの資格を取得することで、資金運用で必要な基礎知識や理解が深まります。ただし、資金運用は経験や実践を積みながら知識を深めると同時に、リスクを伴うため、十分な知識とスキルを持って取り組むことが大切です。
投資には、国家資格などを必要としないのは間違いないですね。しかし、シルバー世代で、より安全で確実な投資を実践していくためには、これらの資格が役立つのも確かです。特に、うまい投資話に騙されるのは、圧倒的にシルバー世代が多いですものね。
資金運用においてはリスク管理も重要です。リスクは常に存在し、予測できない要因によって影響を受けることもあります。特にシニア世代は、老後に備えた大切な資金になりますので、資金運用を行う際にはリスクを最小限に抑えるための投資戦略を立てる必要があります。
一方、資金運用には企業の業績だけでなく、市場の動向を把握することも重要です。経済や金融の情報を適切に収集し、分析することで投資の意思決定に役立てることができます。さらに、長期的な視点で市場を見ることも重要です。短期の変動に左右されず、長期的な成果を追求することが資金運用の成功につながります。
資金運用にはさまざまな要素が関わっています。身につけた資格を活かしながら、経験や実践を通じて知識を深め、リスク管理や市場の動向を意識することが重要です。
シルバー世代においては、資金運用はより慎重な計画と戦略が必要であり、適切な知識とスキルを持って取り組むことが成功の鍵になるはずです。