シニア世代の皆様が生涯の中で少なくとも一度は経験する可能性が高い、身近な健康問題である神経痛について掘り下げていきます。
神経痛とは、広く認識されているように、神経が原因で発生する痛みのことを指します。この痛みは、その名前が示すとおり、発症部位によって命名されます。例えば、お尻からふくらはぎにかけて痛む「坐骨神経痛」、背中から胸にかけて痛む「肋間神経痛」、頭の後ろが痛む「後頭神経痛」などが主な例として挙げられます。これらは人々が日常生活で最もよく遭遇する神経痛のタイプです。
さらに、「三叉(さんさ)神経痛」や「帯状疱疹後神経痛」といった種類も存在し、その症状は多岐に渡ります。これらは比較的稀でありながら、非常に強い痛みを伴うことが多いとされています。
今回は、日常生活に大きな支障を来す可能性のある「坐骨神経痛」、「肋間神経痛」、「後頭神経痛」について、その原因や予防、対策を自身の経験に基づいて考察します。
これを通じて皆様の健康管理に役立つ情報を提供できればと思います。
神経痛の原因と予防・対策
多くは特定の症状による症候性神経痛ですが、原因が不明な特発性神経痛も存在します。これは医療者や患者にとっての課題となっています。私自身も神経痛に悩まされた経験があり、その中でも坐骨神経痛が最も痛みが強く、完治するまで約1か月を要しました。その経験を踏まえ、神経痛の原因と、その予防法や対策について以下のとおり解説します。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、腰部の痛みを引き起こす非常に一般的な疾患であり、この痛みは腰から下肢にかけて広がることがよくあります。この症状の主な原因の大部分は腰椎椎間板ヘルニアで、これは腰椎の椎間板が変性し、神経を圧迫する状態を指します。また、梨状筋症候群の場合もあり、梨状筋によって坐骨神経が圧迫されることで起こります。しかし、これは常に原因ではなく、まれに変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症が原因となる場合もあります。
これらの疾患は、体を動かしたときに患者が電気が走ったような鋭い痛みを経験することが特徴です。この痛みはしばしば突然現れ、患者の日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
私の症状は、梨状筋症候群が原因で、坐骨神経が支配するお尻から太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれでした。強いチクチクとした痛みやしびれが続き、非常に辛い時期を経験しましたね。
予防法や対策としては、以下のような方法が有効です。
- 定期的なストレッチや適度な運動:腰や脚の筋肉を強化し、柔軟性を高めることが重要です。
- 正しい姿勢を保つ:長時間同じ姿勢でいることを避け、背もたれがある椅子を使用し、膝と腰が同じ高さになるように調整します。
- 体操・ストレッチ:背骨を支える筋肉に疲労を溜めず、筋肉の柔軟性を保ち、姿勢のバランスを崩さないようにするために行います。
症状が現れた場合は、早めに整形外科を受診しましょう。原因が不明な場合は、レントゲンやCT検査、MRI検査などの画像診断が必要です。信頼できる医師による適切な診断と治療が原因特定のために大切です。さらに、日常生活でのストレッチなどのセルフケアを含む予防対策も重要です。
肋間神経痛
肋間神経痛は、肋骨間の神経が圧迫されたり、損傷したりした結果として発生します。主な原因は体の歪み、椎間板ヘルニア、骨折などの物理的ダメージだけでなく、ウイルス感染、骨粗しょう症、さらには内臓疾患によるものもあります。一般的には、突然の鋭い痛みが走る形で現れ、その痛みは強烈で、大声を出す行為や深呼吸をすると増幅することがあります。
予防法や対策としては、適切な姿勢の維持、背中や胸部の筋肉を強化するエクササイズ、過度の身体活動や怪我の回避が重要です。また、ストレッチングや運動によって腰への負担を軽減し、筋力をつけることも有効です。
治療法には、痛みを抑制する薬物療法を中心に、漢方薬、鍼治療、ツボ押し、指圧などがあります。症状や個々の状態に応じて最適な治療法を選択することが重要です。
日常生活での対処法としては、痛みが強いときは休息を取り、痛む部位を温める、湯船につかって体を温める、市販の鎮痛薬を服用するなどがあります。しかし、症状が改善しない場合や、痛みが強い場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
風邪などを引いたときに、たまに肋間神経痛になることがあります。私には、肋間神経痛になった時は、良く効く常備薬あり、それを飲むと比較的早くよくなりますね。
後頭神経痛
後頭神経痛は、頭や耳の後ろの神経が痛む状態を指します。これらの神経は頭の後部を支配し、損傷すると痛みを引き起こします。頭皮や頭髪の刺激、枕による圧迫、長時間のデスクワーク、ストレスなどが痛みの原因となることがあります。さらに、長時間の同じ姿勢やスマートフォン、パソコンの使用による首や肩のこり、猫背や前傾姿勢、寒さによる筋肉のこわばりなども関連しています。後頭神経痛は日常生活でよく見られ、多くの人が経験する可能性があります。
予防法や対策としては、以下のような方法が有効です。
- 定期的なストレッチ:デスクワーク中に時々ストレッチを行い、筋肉の緊張を和らげます。
- 適切なデスクと椅子の高さ:作業デスクと椅子の高さが合っているか確認し、姿勢を正します。
- モニターの位置:パソコンのモニターが低すぎないようにし、スマートフォンは目線の高さで使用します。
- 気分転換:適度に休憩を取り、ストレスを溜めないようにします。
- 冷湿布の使用:痛みのある箇所を短時間冷やしたり、冷湿布を貼ることも効果的です。
これらの対策を心がけることで、後頭神経痛のリスクを減らすことができます。痛みが続く場合は、専門の医療機関を受診することをお勧めします。症状が他の病気に関連している可能性もあるため、早めの診断と治療が重要です。
私は片頭痛を持っており、月に数回程度発症します。その中で、稀に後頭神経痛も発症します。程度は比較的軽く、通常の常備薬で症状が改善します。それほど長引くことはありませんね。
なお、その他の神経痛としては、顔面が痛む「三叉(さんさ)神経痛」で、疲れやストレスによる自律神経の乱れが関係しているといわれます。しかし、原因が不明なことが多く、まれに脳腫瘍や脳動脈瘤の異常からくる場合もあります。また、「帯状疱疹後神経痛」は、帯状疱疹が治癒した後も痛みが残る後遺症です。帯状疱疹の初期症状は、片側の胸から背中にかけての皮膚の赤み、水ぶくれ、そして痛みです。痛みが先行し、その後で皮膚の症状が現れることが一般的です。しかし、皮膚の症状が改善した後でも痛みが続くことが、この帯状疱疹後神経痛の特徴です。
最後に
神経痛は、非常に強い痛みを引き起こす可能性があり、しばしば長期間続くという特徴があります。その痛みの改善方法は多岐にわたり、一般的には薬物療法が最初に採用されます。しかし、薬物療法が十分な効果を発揮しない場合、神経痛の種類によっては、消炎鎮痛処置や神経ブロックなどのより特殊な治療法が行われることもあります。それぞれの治療法の効果は個々の病状や体質により大きく異なります。
神経痛は、一度発症すると治癒までに時間がかかることが多いので、予防が極めて重要です。予防策を講じることで、神経痛の発症を遅らせるか、または完全に防ぐことが可能です。もしも神経痛になってしまった場合でも、上記のような対策を参考にして、痛みを和らげることができます。まずは、神経痛の原因を正確に理解し、その原因を適切に予防することが最善の対策となります。
シニア世代、特に高齢者になると、さまざまな原因で身体の各部位が痛む場合が増えてきます。これらの中でも、神経痛は特に厳しい痛みを生じさせることがあり、日常生活に大きな影響を与える場合もあります。
人生100歳時代を健康的に過ごすためには、神経痛への理解が重要で、その予防と対策が不可欠です。適切な予防策を取り、必要な治療を早期に開始することは、長期的な健康状態の維持に大いに役立つはずですね。
《 参考情報 》