健康生活ガイド(認知症編)

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10年ほど前のある日、私は母の異変に気付きました。母は普段から忘れ物をすることが多かったのですが、ますます物忘れをするようになり、日常生活に支障をきたすようになっていました。特に、料理を作る時のガスの消し忘れが多くなってきたため、私が変わって料理をするようになっていました。

心配した私は、母を近くの専門病院に連れて行き、診断を受けることにしました。その結果、母は認知症と診断されましたが、90歳ぐらいになっていたので、ある程度覚悟をしていました。

今回の記事では、母の認知症とその介護のポイントについて考えてみたいと思います。認知症は、高齢者にとって非常に深刻な問題であり、また家族にも大きな負担をかけることがあります。そのため、適切な介護方法を選択するだけでなく、母の安心と快適さを確保するために、さまざまなアプローチや手段を検討する必要があります。

以下では、認知症の現状や介護のポイントなどについて詳細に説明します。また、認知症の症状や進行のメカニズムについても触れることで、読者がより深く理解できるようにします。さらに、介護の重要性や家族の役割、専門家のサポートなど、関連するトピックも取り上げます。このようにすることで、読者はより包括的な情報を得ることができ、自身や家族の状況に適した対策を講じることができれば幸いです。

認知症の現状

令和元年の厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について」によると、日本の65歳以上の高齢者の認知症の人数は2020年時点で約602万人に達しています。これは65歳以上の人口の約6人に1人の割合です。2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人、全日本国民に換算すると17人に1人が認知症を発症すると予測されています。認知症の人数は増加傾向が続き、認知症はもはや他人ごとではありません。

認知症の発症率は年齢別に見ると年代が上がるほど増加傾向にあります。60代では約3%程度で認知症の発症率はそこまで高くありませんが、70代の後半では男性は12%、女性は14%と大幅に増加します。80代後半になると男性は35%、女性は44%となります。90代になるとその数は大幅に増え、半数以上の人が発症する病気となります。

認知症には主にアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症があります。アルツハイマー型認知症が最も多く、全体の約67.6%を占めています。2番目に多いのは脳血管性認知症で約19.5%です。

認知症への理解

まずは、認知症について理解することが非常に重要です。認知症は脳の機能が徐々に低下し、記憶力や判断力、認識力などに影響を与える病気です。認知症は日常生活に大きな変化をもたらす可能性があります。家族が認知症になった場合、時間の感覚が鈍くなることや、大切な人々の名前や顔を忘れることがあるかもしれません。

さらに、新しい環境への適応が難しくなり、不安を感じることもあるかもしれません。これらの変化に対処するためには、罹患者への献身的なサポートや理解が必要です。また、認知症に関する情報を収集し、専門家の助言を求めることも重要です。

私は母親に対して、できる限りのサポートを行い、認知症の影響を最小限に抑え、彼女がより健康で幸せな生活を送れるように努めていました。

認知症の治療薬

レカネマブは米国で2023年1月に承認され、日本でも厚生労働省による承認を得ました。アルツハイマー病の進行を抑える日本で初の治療薬です。レカネマブはアルツハイマー病の治療薬候補で、脳内のアミロイドβの塊を減らし、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。特にプロトフィブリルと呼ばれるアミロイドβに結合して除去することが特徴です。レカネマブは2週間に1回点滴で投与されます。対象はMCI(認知症前段階)もしくは軽度アルツハイマー型認知症で、アミロイドβの蓄積が確認された人です。中等度以上では効果が期待できないことがわかっています。

レカネマブの副作用として、脳の浮腫や出血があります。臨床試験では、脳浮腫は12.6%、脳内出血は17.3%の人に確認されました。しかし、多くの人は自覚症状がありません。そのため、レカネマブを使用する場合は定期的にMRI検査を受ける必要があります。また、初回の点滴後にはアレルギー症状や発熱などが起こる可能性もあります。

レカネマブを服用するためには、早期発見、早期治療がとても大切になります。認知症が治る病気になったら、うれしいですね。

介護のポイント

認知症の母を私が介護する際には、訪問介護サービスやデーサービスの利用とともに、以下のポイントに注意を払っていました。

  • コミュニケーション:母とのコミュニケーションは、理解しやすく、穏やかな態度で行うことが重要です。簡単な言葉やジェスチャーを使い、ゆっくりと話すことで円滑なコミュニケーションができました。
  • 進行の遅延:デーサービスでの軽い運動やパズルなどの認知トレーニングを取り組むことで、母は楽しみながら認知症の進行を遅らせる効果が期待できました。また、音楽療法などの創造的な活動を通じて、一時的に感情の表現力やコミュニケーション力が活性化された感じがしました。
  • 生活環境の整備:母が忘れ物をしないように、必要なものを見える場所に配置しました。また、日常生活のルーティンを作り、母が予測可能な環境で過ごせるようにしました。これにより、母の生活の改善が図られました。
  • 安全な環境:認知症の母が安全に生活できる環境を整えることが重要です。床を滑りにくくする、鍵をかけられないようにする、危険物を隠すなどの対策を取りました。
  • 日常生活のサポート:母が日常生活を送る上で支援が必要な場合があります。食事の準備や入浴のサポート、薬の管理など、必要なサポートを行うことが大切です。
  • 自己の健康改善:認知症の母の介護は大変な仕事であり、肉体的・精神的な負担がかかります。そのため、自分自身の健康改善に努め、必ず休息を取ることも重要です。家族や公的機関のサポートを受けることで、介護の負担を軽減できます。

母の状態を改善するために、医師の指導に従って薬物療法も試みましたが、認知症の進行を止めることはできませんでした。そのため、私は施設での介護の必要性を感じるようになりました。母のために専門の介護施設を探し、母の状態に合った最善の環境を提供することができました。

初めは母も嫌がりましたが、施設のスタッフや他の利用者との交流を通じて、母は新たな楽しみや安心感を見つけることができました。

おわりに

認知症は、家族にとって大きな負担ですが、適切な介護方法を選択することで、安心や快適さを確保できます。認知症の理解と介護のポイントを把握し、ケアに取り組みましょう。また、認知症と向き合うことで、罹患者の人生や思い出についても深く学ぶことができます。罹患者の若かりし頃のエピソードや家族の絆について話し合い、共有することも大切です。

母の介護の経験は、私自身にとっても大きな成長の機会になりました。母のケアを通じて、思いやりや忍耐力、柔軟性などの資質を養うことができました。同時に、定期的な休息やストレス解消の散歩など自分自身の健康改善に努めることで、心身の健康を保つことが重要です。

認知症の母の介護は、私にとって大きな試練であり、時には怒りや悲しみ、無力感に苦しむこともありました。しかし、私は母を支え続けることで、母ができる限り自分らしく生活できるように努めていました。認知症とともに生きる母の姿から、家族の絆や思いやり、助け合いの大切さを再認識することができました。

人生は予測不可能なことがたくさんあります。私は母の認知症とともに、自分の未来を切り開いていくために努力を続けていたことが、現在の自分を創り上げたものであると確信しています。

【参考文献】

 

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