シニア世代にとって、筋トレは非常に重要な活動です。なぜなら、年齢とともに筋力が低下し、体力が減退してしまうためです。このような加齢に伴う筋肉量の低下は、身体機能の低下状態であるサルコペニアと呼ばれます。高齢になるほど、このリスクは高まります。そこで、このリスクを回避するためには、筋トレを行い、筋力を維持・向上させることが重要です。
筋力の維持と向上により、日常生活での身体の動きやバランスが改善され、転倒やケガのリスクが減少するだけでなく、骨密度も向上し、骨折のリスクも低くすることができます。
さらに、筋トレは代謝を上げ、脂肪を燃焼させる効果もあります。シニア世代は基礎代謝が低下しているため、脂肪を減らすことが難しくなっています。しかし、筋トレによって筋肉量を増やすことで、基礎代謝を上げ、脂肪を効果的に燃焼することができます。
今回は、シニア世代の体力維持と向上に役立つ「筋トレ」について紹介します。
期待できる効果
筋トレは、シニア世代の身体機能や日常生活動作の向上に役立ちます。また、骨密度の維持や骨折リスクの低下にも効果的で、骨粗鬆症予防にも期待できます。さらに、筋トレは代謝を向上させ、体脂肪を減らす効果もあり、メタボリックシンドロームの予防にも役立ちます。
一方で、筋トレは認知機能の改善にも役立ち、認知症予防にも効果があるとされています。適切な筋トレプログラムを実施することで、バランス感覚や姿勢の改善が期待できます。さらに、筋トレは心理的な健康にも良い影響を与え、ストレスの軽減や自己肯定感の向上に寄与するとされています。
筋トレは日常生活の活動性を向上させ、自立した生活を送るための重要な要素です。生活の質を向上させ、高齢者の幸福度や満足度を高める効果も期待できます。
筋トレは活力ある長寿社会を迎えるために重要であり、サルコペニアの予防にもつながり、高齢者の健康寿命を延ばす効果が期待できますよ。
効果的な方法
シニア世代の筋トレは、無理のない範囲で行うことが大切です。その中で、効果的な筋トレの方法をいくつか紹介します。また、YouTubeなどでたくさんの筋トレ動画が出ていますので、気に入ったものを参考にしてみてください。
【自宅で行う場合】
- 軽いウェイトを使ったトレーニング:ダンベルやペットボトルなどの軽いウェイトを使って、上半身や下半身の筋肉を鍛えることができます。例えば、腕の筋力を鍛えるために、ダンベルを持ち上げる運動やペットボトルを使ったスクワットなどがあります。
- ボディウェイトトレーニング:自分の体重を使って行うトレーニングも効果的です。例えば、壁を使ったスクワットや腕立て伏せ、椅子を使った腹筋運動などがあります。これらのトレーニングは、筋肉を均等に鍛えることができます。
- バランスを意識したトレーニング:シニア世代にとって、バランス感覚を維持することも重要です。バランスボールやボードを使ったトレーニングを取り入れることで、バランス感覚を鍛えることができます。また、片足立ちやかかと立ちなどのバランスを意識した運動も効果的です。
- 握力維持向上トレーニング:シニア世代にとって、握力を維持することも重要です。高齢になればなるほど、握力や歩く速度の低下が顕著にみられるようになります。このため、ハンドグリップなどで握力の維持向上に努めましょう。
なお、筋トレの後は、必ず適切な休息を取ることが大切です。筋肉はトレーニングの刺激を受けて成長するため、休息を取ることで筋肉の回復を促すことができます。また、筋肉をほぐすストレッチや筋肉の成長を助けるたんぱく質を取ることも効果的です。
【ジムで行う場合】
まず、ジムには大きく分けて3種類のタイプがあるので、どのジムが自分にマッチするのか判断材料にしてください。
- フィットネスクラブは、トレーニングジムだけでなく、スタジオや室内プールなどの運動施設も備えており、会員に体力向上などのトレーニングや運動の機会を提供しています。フィットネスクラブは筋トレジム以外にも水泳やテニス、ダンススなど、様々な運動メニューが揃っています。最初に流行ったのがこのクラブになります。 (例)「コナミスポーツクラブ」「ルネサンス」など
- スポーツジムでは、トレーニングマシンやランニングマシーンなどを使って自分自身でトレーニングや運動を行います。最近増えているこのジムは24時間営業しているところも多く、仕事終わりや暇な時間に気軽に通うことができます。会費も手頃な価格で利用でき、服装や時間に制限がないなど、筋トレを継続しやすい環境が整っています。 (例)「エニタイムフィットネス」「chocoZAP(ちょこざっぷ)」など
- パーソナルジムでは、専属のパーソナルトレーナーが個々のニーズに合わせてトレーニングメニューを作成し、指導や食事管理などを行います。筋トレの成果が一番表れやすいのはこのジムですが、会費が高額になります。お金に余裕のあるシルバー世代には向いているかもしれません。 (例)「ライザップシニア」「24/7ワークアウト(シニア)」など
なお、その他のジムとして自治体が経営するジムがあります。会費が安くシルバー世代など地域住民に根付いている場合が多いですが、数が少なめです。
私の場合は、以前はフィットネスクラブやスポーツジムで筋トレをしていましたが、最近は自宅で筋トレやストレッチを行っています。筋トレは継続することが重要ですので、自分に合ったジムや筋トレ方法をぜひ見つけてください。
まとめ
シニア世代の筋トレは、筋力の維持・向上やバランス感覚の改善、脂肪燃焼など様々な効果があります。筋トレを行うことで、日常生活の動作やバランスを改善し、ケガや転倒のリスクを減らすことができます。また、基礎代謝を上げ、脂肪を効果的に燃焼させることも可能です。
効果的な筋トレの方法として、軽いウェイトを使ったトレーニングやボディウェイトトレーニング、バランスを意識したトレーニングなどがあります。ただし、無理をせず、自分の体力や体調に合わせたトレーニングを行うことが重要です。また、トレーニング後には適切な休息を取ることも忘れずに行いましょう。
シニア世代の筋トレは、健康的な生活を送るための重要な活動です。日常生活に取り入れて、健康な身体を維持しましょう。
参考文献
- 「高齢者を対象とした筋トレ」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/000656460.pdf
- 「みんなの知りたい筋トレ」(NHK健康チャンネル) https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1580.html
-
「高齢者の筋力トレーニングの効果」(健康長寿ネット)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenkou-zoushin/kinryoku-training.html
- 「60代からの鎌田式ズボラ筋トレ」(著者:鎌田實、発行:エクスナレッジ)