シニア世代の多くの人々が退職金を受け取る際に、その運用方法の大切さを理解しています。退職金は長年にわたって労働の対価として蓄積されたお金であり、老後の生活資金として重要な役割を果たします。そのため、退職金の運用方法は慎重かつ計画的に考える必要があります。
退職金を運用する際には、確実な利回りが得られる投資法が望ましいです。定期預金や国債はその代表的な例です。また、比較的リスクの少ない手数料の安い投資信託や債券も、望ましい投資法の一つと考えています。資金に余裕のある方は、株式投資や不動産投資も選択肢の一つです。しかし、株式投資や不動産投資にはリスクがつきものであり、そのリスクについても十分理解しておく必要があります。
退職金を運用する際には、将来のライフスタイルに合った計画を立てることも重要です。例えば、老後を豊かに過ごしたい場合は、リスクを取りつつも高利回りが期待できる投資に積極的に取り組むことが必要です。一方で、将来の医療費や介護費など、不測の事態に備えるためには、安定した運用が求められます。
退職金の運用方法について考える際には、自分自身のライフプランを見据え、慎重に選択することが大切です。また、投資については、過去の実績や将来性を見極めるなど、情報収集を十分に行うことが求められています。
退職金の運用方法
1. 長期投資
退職金の運用方法として、長期投資が挙げられます。長期投資は、数年から数十年単位での運用を前提とした方法です。長期的な視点で見ると、株式や債券などの投資商品は、リスクを抑えながら一定の収益を期待できます。ただし、株式などの投資にはリスクがあるため、投資のリスクについて十分に理解し、運用にあたってはリスク分散を行うことが重要です。
なお、今までに株式投資の経験がない方には、株よりも満期元本保証があり国債に比べ利子が高い社債の購入をおすすめします。株式市場は、企業の業績がいくら好調であっても、かつてのようなリーマンショックによる世界同時株安などで株価が大きく下がるケースもあり、株価の回復が思わしくない場合は長期保有することはリスクになりかねません。それらのリスクを理解した上で購入したい場合は、企業業績がよく減配がほとんどない高配当銘柄株がおすすめです。毎年2回程度配当金が得られるため、ちょっとした副収入になり、NISA枠で購入すれば税金もかかりません。
近年は、私もNISA枠で高配当銘柄株を中心に購入しており、うれしい副収入として大切に活用させていただいております。
2. 定期預金
定期預金は、安定した運用ができるというメリットがありますが、一方で、利率が低いというデメリットもあります。そのため、金融機関の「退職金プラン」を活用することがおすすめです。最近は各金融機関で、投資未経験の方でも運用可能なラップ口座や投資信託などと特別金利の定期預金を組み合わせた退職金プランが販売されています。しかし、このセットプランは、ラップや投信の手数料が高いため、あまりお勧めできません。
一方、地方銀行等の退職プランでは、「退職金専用定期預金」なら、年1~3%台の優遇金利が適用されることがあります。「退職金専用定期預金」とは、退職金を預ける際に利用でき、通常の定期預金よりも高い優遇金利が適用されるのが特長です。地銀では、西京銀行の3%が最も高く、大手銀行では、三菱UFJ信託銀行の0.9%が最も高くなっています。ただし、預入期間は、3か月程度の場合がほとんどです。
私の場合は、このようなプランを利用したのち、ネット銀行の定期で最も利率の高いオリックス銀行を今でも利用しています。
定期預金金利(オリックス銀行) 2023.8.1現在
商品名 | 預入期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 5年 | 7年 |
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スーパー定期 | 100万円以上 300万円未満 | 0.150 % | 0.150 % | 0.220 % | 0.300 % | 0.350 % |
スーパー定期300 | 300万円以上 1,000万円未満 | 0.150 % | 0.150 % | 0.220 % | 0.300 % | 0.350 % |
大口定期 | 1,000万円以上 | 0.150 % | 0.150 % | 0.220 % | 0.300 % | 0.350 % |
3. 投資信託
退職金を運用する方法として、投資信託が一つの選択肢として挙げられます。投資信託は、複数の投資家から集めた資金を、専門的な知識を持った運用会社が運用する方法です。このため、投資に詳しくない人でも比較的容易に運用することができます。
投資信託には、株式や債券などの複数の銘柄に分散投資することができるため、リスク分散が行いやすいというメリットがあります。また、投資信託は、信託報酬や購入手数料が他の投資商品に比べて低い場合が多く、長期的な視点での運用に適していることも特徴の一つです。
一方で、投資信託にはリスクも存在します。運用会社の選定や、投資信託の選択によってリスクの度合いが異なるため、投資を行う前には十分な情報収集が必要です。さらに、運用成績によっては元本割れする可能性もあるため、リスクについても理解した上で投資を行うことが大切です。
私の場合は、SBI証券と楽天証券で手数料の安いインデックスファンドの「S&P500」・「オール・カントリー」・「楽天・VIT」などを一定の割合で購入しています。
4. 不動産投資
退職金の運用方法の一つとして、不動産投資が挙げられます。不動産投資は、物件を購入して定期的な家賃収入を得たり、将来的には売却益を得たりすることができる方法です。不動産投資は、一般的に長期的な視野で見た場合、将来的に不動産の価値が上がることで、大きな利益を得ることができます。
物件の管理やメンテナンスは大変ですが、それらを不動産管理会社に任せる方法があります。いい管理会社を選定することは、安定した家賃収入を得ることに繋がります。また、不動産投資では、将来的には不動産価値の上昇による資産価値の増加や、不動産市場の好況による需要増加によって、大きな利益を得ることも可能となります。
さらに、不動産投資は、物件の種類や地域によって、リスクや収益性が異なるため、適切な投資先の選択が重要となります。したがって、投資先の選定には、専門的な知識や経験が必要であることを忘れずに考慮する必要があります。
私の場合は、不動産購入はかなりの資金を要する場合も多く、多額の退職金をもらう場合を除き、退職金を不動産購入に充てることは、不適切であると考えています。
運用方法の注意点
1. リスクの理解
退職金を運用するに当たって、リスクを理解することが非常に重要です。投資とは、元本を失うリスクを伴うものであるため、安易な気持ちで投資することは避けた方が良いでしょう。投資商品には、様々なリスクが存在し、それらをしっかりと確認し、自分自身の投資スタイルに合った商品を選ぶことが大切です。また、投資にあたっては、市場や経済情勢などを注視し、投資商品の価値が上がる可能性が高いと判断される時期に、投資を行うことが重要です。
退職金を運用する際には、リスクについて深く理解し、慎重に投資商品を選び、資産を適切に増やしていくことが大切です。
2. リスク分散
投資商品を選ぶ際には、慎重に検討する必要があります。まず、自分自身の投資目的やリスク許容度を明確にし、それに合わせて投資商品を選定する必要があります。また、単一の投資商品に全てを賭けるのではなく、複数の投資商品に分散することが重要です。それにより、リスクを分散することができ、投資先のリスクに応じた適切な収益を期待することができます。
さらに、投資商品の選定にあたり、投資先の企業や業種の分析、経済情勢の把握、株価変動の監視など、様々な要素を考慮する必要があります。これらの取り組みにより、投資商品の選定においてより良い判断ができ、安定的な収益を得ることができます。
3. コストの確認
シニア世代が商品を選ぶ際には、投資商品のパフォーマンスだけでなく、コストも同様に重要です。投資商品には、運用会社の手数料や信託報酬などのコストが含まれます。これらのコストは、投資商品の収益に直接影響を与えます。したがって、シルバー世代は、収益面だけでなく、コスト面も考慮して投資商品を選ぶことが重要です。証券会社や銀行の窓口では、手数料や信託報酬などが高いのが一般的です。
投資商品には、さまざまな種類があります。一般的にインデックスファンドの方がアクティブファンドより手数料等が安く抑えられていて、収益も安定しています。このため、シルバー世代では、手数料が安く、収益安定性の高いインデックスファンドを選択することをおすすめします。
最後に
退職金は、老後の生活資金として非常に重要な役割を果たしています。退職金の運用方法は慎重に考える必要があり、様々な方法がありますが、自分自身に合った運用方法を選ぶことが大切です。例えば、長期的な視野で見た場合に最も有効な方法としては、定期預金や投資信託などの運用が挙げられます。また、リスク分散を行うことでリスク管理がしやすくなるため、複数の投資先への分散が求められます。さらに、不動産投資などの不動産関連(リートなど)の資産も運用の一つとして考えられます。
投資には必ずリスクがあるため、投資に慣れていない人はリスクについて十分に理解しておくことが大切です。しかし、リスクを過度に恐れることも避けるべきです。投資は、リスクを適切に管理することで、将来的により高いリターンを得ることができます。
コスト面も含めて、投資商品を選ぶことが、より良い投資体験を得るために不可欠です。シルバー世代は、投資商品のパフォーマンスだけでなく、コストについても同様に重要であることを理解する必要があります。