資金運用(出口戦略編)

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シニア世代の資金運用は、年齢や生活状況に応じて戦略が大きく変わります。特に退職後の生活設計や健康状態の変化を考慮すると、柔軟な資産管理が不可欠です。この複雑な戦略については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。

資金運用(年代別編)
今回は、私の経験も踏まえてシニア世代の年代別の資金運用について考察してみたいと思います。 シニア世代では退職されている方も多いため、資金運用は安全性と確実性が最優先事項となります。しかし、現代では「人生100年時代」と言われ、豊かに暮らすた...

近年、日本人の平均寿命は、一部の例外的な期間を除いて着実に延びています。「人生100年時代」という言葉が広く浸透した今日、長期的な視点での資金計画がますます重要になっています。この寿命の伸びは、私たちの資金運用戦略に大きな影響を与えています。

こうした背景から、これまで蓄積してきた資金をいかに効果的に活用し、保全していくかが極めて重要な課題となっています。特に70代以降のシニア世代では、単に資産を増やすことよりも、資産を守り、計画的に活用していく点に重点が置かれます。資産の安全性を確保しつつ、必要に応じて流動性を維持することが求められるのです。

本記事では、70歳以降のシニア世代を中心に、株式投資や投資信託などを通じて築き上げた資産の効果的な運用方法と、その出口戦略について詳しく考察します。

前提条件:健康と長寿の重要性

健康こそが、豊かな老後生活の基盤です。本ブログでは、健康的な生活に欠かせない様々な習慣を詳しく紹介してきました。シニア世代では、年を重ねるにつれて健康状態の個人差が顕著になります。特に70歳以上の方にとって、健康寿命の延伸は最優先課題といえるでしょう。健康を最大限に維持しながら、資産を適切に守り活用することが、充実したシニアライフを送るカギとなります。

医療技術の進歩や生活習慣の改善などにより、日本人の平均寿命は着実に延びています。「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びる中、長期的視点に立った資産管理と健康管理の重要性はますます高まっています。健康と資産—この両輪のバランスを取りながら、充実したシニアライフを送るための具体的な方策を探っていきましょう。

私は長年両親の介護を通じて、健康とお金の重要性を身をもって実感してきました。健康寿命を延ばしつつ、資産運用で得た資金を効果的に活用することが、今や私の人生における目標となっています。

具体的な出口戦略(取崩し方法)について

資金があっても「健康」でなければ十分に活用できません。人生を充実させる観点から、資産を効果的に活用する「取崩し方法」を検討しましょう。

株式について

株式市場の変動は避けられません。特に下落局面では資産取崩しに慎重さが求められます。市場低迷時に継続的に資産を取り崩すと、保有資産が早期に枯渇するリスクが高まります。この問題を認識し、適切な対策を講じることが重要です。以下に、効果的な資産取崩し戦略を提案します。

売却基準の明確化

自身の投資方針に基づいた明確な売却ルールを事前に設定しましょう。例えば、保有株の価格が5%以上変動した場合に売却を検討するといった具体的な基準を設けると効果的です。これにより、感情に左右されない冷静な判断が可能になります。

高配当株の戦略的保有

安定した配当利回りを提供する高配当株は、長期保有の対象として魅力的です。これらの株式からの配当収入は、年金を補完する重要な追加収入源となります。ただし、健康状態によっては早めの取崩しが必要になる場合もあります。

新NISA制度の活用

新規に株式を購入する際は、税制優遇措置が適用される新NISAの枠内で行うことを強くお勧めします。この制度を最大限に活用することで、投資収益への課税を抑え、資産の取崩しの影響を軽減できます。

投資信託について

投資信託の取崩し方法には、「定額」と「定率」の2種類があります。これらは特徴が異なり、個人の状況に応じて選択します。以下で各方法とその組合せ戦略を詳しく説明します。

定額取崩し

定額取崩しは、投資信託から一定金額を取り崩す方法です。この方法の最大の利点は、毎月の取崩し額が固定されているため、予算管理が容易で生活費の見通しが立てやすい点です。特に、定期的な支出がある場合や、安定した収入を求めるシニア世代にとっては魅力的な選択肢となります。

しかし、この方法にも欠点があります。市場の変動に関わらず一定額を引き出すため、資産の減少が早まる可能性があります。特に、市場下落時に多額の引き出しを行うと、資産の回復力が低下し、長期的な資産の持続可能性に影響を与える恐れがあります。

定率取崩し

定率取崩しは、投資信託を一定割合で取り崩す方法です。主なメリットは、市場変動に応じて取崩し額が調整される点です。相場下落時には取崩し額が自動的に減少し、過度な資産取崩しを避けられるため、資産寿命を延ばせます。

ただし、この方法にも課題があります。市場変動により受取額が変動するため、収入予測が難しく、長期的には受取額が徐々に減少する傾向があります。将来の生活設計に不確実性をもたらす可能性があるため、固定費が多い場合や安定収入が必要な場合は慎重に検討する必要があります。

定額・定率の組合せ戦略

この戦略は、定額と定率取り崩しを組み合わせた柔軟な方法です。老後前半は定率で資金を活用し、後半は定額に切り替えて安定収入を確保します。これにより、前半は旅行や趣味などの好きなことにに活用でき、後半は基本的な生活費をカバーできます。

ただし、この戦略には適切な切り替えタイミングや金額調整が必要です。また、健康状態や予期せぬ支出も考慮し、柔軟に対応できるよう準備することが重要です。

さらに、不動産投資を行っている方にとっては、相続を含めた出口戦略が非常に重要な課題となりますね。

取崩した資金の保全及び活用方法

保全方法

取り崩した資金は、即座に活用する場合を除き、以下の方法がおすすめです。

近年、日銀などの金利見直しにより、銀行や国債の金利が徐々に上昇傾向にあります。そのため、定期預金では金利の高いネット銀行の利用を最優先に検討しましょう。

差が出る!【2024年9月最新】定期預金はどこがいい?金利の高いおすすめ銀行ランキング
定期預金の金利をランキング【2024年8月の最新】しました。定期預金を検討中の方は要チェック。定期預金するなら金利の高いところを選ぶのがベスト。定期預金のしっておきたいポイントも一緒に照会。定期預金でどのくらい利息がつくのか?本当に定期預金...

また、国債では個人向け国債の「変動10年」が魅力的です。この国債は1年経過後ならいつでも解約できる点が優れています。ただし、解約時には直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる点に注意が必要です。

個人向け国債 : 財務省
こちらは、財務省の個人向け国債のWEBサイトです。個人の方が買いやすい安全で手軽な個人向け国債には、変動10年、固定5年・3年の3つの種類があり、それぞれの特徴をわかりやすく説明しています。また、現在募集中の個人向け国債の情報も掲載していま...

その他の保全先としては、次のブログが参考となります。

資金運用(安全資産編)
シニア世代の資金運用について、これまでさまざまな方法を説明してきました。しかし、日本人の金融資産の約50%が預貯金で占められている現実があります。これは、投資と言えば、多くの日本人が高リスクなイメージを持っていることを示しているかもしれませ...

活用方法

シニア世代にとって、年齢を重ねるにつれ自由に活動できる時間が減少するという実感が強くなります。しかし、自分の余命を正確に予測することは不可能であり、多くの不確定要素があります。

特定の事故や予見不可能な自然災害を除けば、健康状態、生活習慣、遺伝的要素を考慮することで、ある程度の健康寿命を予測できます。そのため、身体が自由に動き、活動できるうちに、蓄積した運用資産を有効活用することが重要です。

具体的な活用方法については、以下のブログで詳しく説明していますので、ご参照ください。

資金運用(資金活用編)
このブログでは、シニア世代の資金運用について多角的にアドバイスを提供してきました。今回は、特にシニア世代の運用資金の活用方法に焦点を当てて考察します。 資金運用が順調に進むと、運用資金は増えます。これは一見、素晴らしい結果に見えますが、増加...

最後に

シニア世代に入ると、資産の活用と保全のバランスが極めて重要になります。60歳代までは主に資産を増やすことに重点が置かれますが、70歳以降は蓄積した資産の有効活用と長期的な保全が鍵となります。この時期には、リスク管理を強化しつつ、安定的な収入源の確保と資産の流動性維持のバランスを取ることが求められます。

70歳から資産の計画的な取崩しを始めると、「人生100年時代」を前提にすれば、30年後に100歳に達します。この長期的視点は重要ですが、老後後半の資産減少を過度に懸念する必要はありません。加齢に伴い活動範囲が縮小し、日々の支出も減少傾向にあるためです。ただし、医療や介護のニーズ増加も考慮し、柔軟な資産管理戦略を立てることが肝要です。

仮に資産がゼロになっても、公的年金が生涯受給できる安心感があります。また、500万円の資産から年5%の配当収入を得れば、月約2万円の追加収入が確保できます。これは基礎的な生活費を補う助けとなり、完全に収入がゼロになる事態は通常想定されません。複数の収入源を組み合わせることで、より安定した老後の経済基盤を築くことができます。

日本では、人生終盤に向けて資産が最大化する傾向が報告されています。しかし、真の課題は築き上げた資産を豊かな老後生活に効果的に結びつけることです。

資産を単に温存するだけでなく、健康状態や生活の質を考慮しながら適切に活用することが、これからのシニア世代にとって最重要課題になりますね。

《 参考情報 》

65歳からの新NISA活用術:シニア世代の資産運用を変える7つの秘訣
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