資産運用において、資産配分は成功の鍵となる重要な要素です。特にシニア世代では、リスクを抑えながら安全で確実な資金運用が求められています。適切な資産配分を行うことで、リスクをヘッジしながらしっかりとリターンを得ることが重要です。
資産配分とは、異なる資産クラスにどのように投資を分配するかを決定するプロセスであり、これにより投資資金全体のバランスを保つことができます。例えば、株式、債券、不動産、現金などの異なる資産クラスに分散投資を行うことで、リスクを分散させることができます。しかし、資産配分の最適化は複雑で、多くの投資家が悩みを抱えています。市場の動向や経済の変化によって、適切な資産配分は常に変わる可能性があるため、定期的な見直しも必要です。
本記事では、資産配分の考え方と実践方法について考察します。さらに、シニア世代に特化した資産運用のアプローチや具体的な事例も紹介し、読者がより理解しやすいように解説します。
資産配分とは
資産配分とは、投資対象となる資産の種類とそれぞれの割合を決めることです。例えば、株式50%、債券30%、現金20%といったように、投資資産を様々なクラスに分散させます。
このような資産クラスの保有割合を決めることをアセットアロケーションといいます。さらに、次回の記事でお話しするポートフォリオとは、資産を構成する株や投資信託、債券などの具体的な金融商品の組み合わせの割合のことを指します。
資産配分を最適化する重要性
資産配分を最適化する主な理由は以下の3つです。資産配分の最適化は、投資家が市場の変動に柔軟に対応し、リスクとリターンのバランスを取るための重要な戦略です。
リスクを軽減する
資産を分散させることで、個々の資産の値動きによる影響を軽減できます。例えば、株式市場が不安定な場合でも、債券や預貯金など他の資産に投資していれば、全体のリスクを抑えられます。
リターンを最大化する
各資産のリスクとリターンを理解し、適切に配分することでリターンを最大化できます。株式、債券、金、不動産などに分散投資し、一つの市場が悪化しても他の市場で収益を期待できます。国内外に幅広く投資することで地域リスクも分散可能です。戦略的な資産配分は長期投資成功の鍵です。
投資の目標を達成する
老後資金の準備や教育資金の確保など、投資の目標に合わせて資産配分を調整することで、目標達成の可能性を高められます。例えば、短期的な目標のためには流動性の高い資産に比重を置き、長期的な目標のためには成長性の高い資産に投資することが考えられます。
資産配分を最適化するための3つのステップ
資産配分を最適化するには、以下の3つのステップを実行する必要があります。
ステップ1:リスク許容度への理解
投資におけるリスク許容度とは、投資家が許容できる損失の大きさです。リスク許容度は、年齢、収入、資産状況、投資経験などによって異なります。
リスク許容度を理解するには、以下の質問を自分に問いかけてみましょう。
- どのくらいの損失を許容できるか?
- どのくらいの期間投資を続けることができるか?
- どのくらいの頻度でポートフォリオを確認したいか?
ステップ2:投資目標の設定
投資目標とは、投資によって何を達成したいかという具体的な目標です。例えば、老後資金の準備、教育資金の確保、住宅購入資金の貯蓄などが挙げられます。
投資目標を設定することで、必要な投資金額や投資期間を明確にすることができます。
ステップ3:資産クラスの選択
資産クラスとは、株式、債券、不動産、金など、異なるリスクとリターンの特性を持つ資産のグループです。
それぞれの資産クラスのリスクとリターンを理解し、自分のリスク許容度と投資目標に合わせて適切な資産クラスを選択する必要があります。
資産配分を実践する方法
資産配分の最適化は重要ですが、とても難しいことです。特に、投資初心者には困難で、長い投資経験が必要となります。さらに、投資経験が長い人でも投資目的や年代、資産規模によって異なります。このため、プロが運用しているGPIFの資産配分モデルを参考にすることも一つの方法です。
GPIFは厚生労働大臣から委託された年金積立金の管理・運用を行い、その収益を国庫に納付することで、年金財政の安定に貢献する組織です。GPIFは基本となる資産構成割合を定め、それに従って分散投資を行っています。
シニア世代の方々も、真似しようと思えば簡単にできます。老後の準備として、運用で資産を増やすことを目指す人にとって、参考になる一例ですね。
現在の資産配分は、原則として外国株式25%、国内株式25%、外国債券25%、国内債券25%です。発足当初は、安全性を重視していたため、国内債券が60%も占めていました。
シニア世代の資金運用は、年齢が高くなるほど安全性が求められます。また、投資経験や実績によって資産配分は異なってくると思われます。ここでは、私が2012年以降のシニア世代から今までに実践してきた資産配分方法を紹介します。
個別銘柄・国債、定期預金中心の運用
2012年当時の資産は、退職金の他、個別株、国債、定期を含めた預貯金でした。退職後は、両親の介護に時間を割くだけでなく、大学にも通学していました。退職直後の資産運用において特に重要視していたのが安全性でした。そのため、資金運用は安全性の高いものを中心に構成しました。具体的には、定期預金が60%、国債が20%、株式が10%、現金が10%程度という割合で運用を行っていました。このようにして、リスクをできるだけ避けつつ資産を守ることを目指していました。
社会経済状況の変化に応じた資産配分
2013年1月からアベノミクス効果により、日本経済の回復とともに、今までずっと低迷していた日本株の上昇が始まりました。それに伴い、私の投資戦略は、株で得た利益の一部を新たな株の購入へとシフトとしていきました。こうした時期に私の資産が大きく伸びた結果、資産配分に大きな影響が見られました。いわゆる資金配分は、日本の預貯金重視型から米国の株式等などの有価証券重視型に変化してきています。
2024年1月の資産配分は、投資信託を含む株式35%、定期預金25%、ロボアドバイザー15%、債券10%、現金10%、その他5%となっています。
最近では、特にライフサイクル型資産配分を重視し、年齢やライフステージに合わせて資産配分を調整しています。株などのリスク資産を減らし、徐々に国債や預貯金の比率を高めていますね。
ロボアドバイザーの利用
ロボアドバイザーは、人工知能を用いて資産配分を行うサービスです。リスク許容度や投資目的を設定すると、最適な資産配分を提案してくれます。ロボアドバイザー大手のWealthNaviの無料診断がおすすめです。これを参考に、自分で資産配分を考えることもできますし、実際に利用して運用することもできます。手数料は若干高いですが、資産配分が苦手な人や面倒に思っている人には利用価値が高いと思います。
私もパートナーに勧められて、WealthNaviを活用しています。資産配分の見直しや税金の最適化も自動で行ってくれるので、安心ですね。
その他にも、投資信託のプロである運用会社が資産配分を行うアセットアロケーションファンドがあります。これらのファンドは、様々な種類の資産に分散投資した投資信託です。このため、初心者でも簡単に資産配分を行うことができますが、手数料が高額になる傾向があり、あまりおすすめできません。
資産配分の留意事項
資産配分を定期的に見直す
資産配分は、市場環境や個人の状況の変化に合わせて定期的に見直す必要があります。資産配分を適切に保つためには、以下の目安を参考に見直しを行うことが重要です。
- 最低年に1回程度は見直し、毎年の経済状況や市場の動向を考慮した、ポートフォリオのバランスを維持します。
- 介護、退職、リフォームなどの重要なライフイベントが発生した場合に見直すことで、人生の大きな変化に対応できる資産配分を確保します。
- 経済状況や投資目標が変化した場合に見直します。例えば、昇進や転職で収入が増えたり、投資先の市場が大きく変動した場合には、それに応じて資産配分を調整することが必要です。
資産運用における注意点
資産運用を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
- 必ずしも高いリターンが得られるとは限らない: 資産運用にはリスクが伴います。必ずしも高いリターンが得られるとは限らないことを理解しておく必要があります。
- 長期的な視点で考える: 資産運用は長期的な視点で考えることが重要です。短期的な値動きに惑わされず、長期的な目標に向けて投資を続けましょう。
- 専門家のアドバイスを活用する: 資産運用について不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
なお、パートナーがいる場合は、必ず二人で資金運用を行うようにしましょう。夫婦の場合は法的に共有財産も多く、いずれかがその資産を相続することになるからです。
まとめ
資産配分は、資産運用における非常に重要な要素です。リスク許容度や投資目標、そして様々な資産クラスを考慮することが必要です。自分に合った資産配分を行うことで、リスクを抑えつつ、投資目標達成の可能性を高めることができます。適切な資産配分は、資産運用において成功への鍵となります。
資産配分を最適化することで、リスクを抑えながらリターンを最大化することが可能です。これは、投資家にとって非常に魅力的な戦略です。資産配分は定期的に見直すことが重要であり、経済状況や自分のライフステージの変化に応じて調整が必要です。また、長期的な視点で資産運用に取り組むことが、安定した成果を生むための基盤となります。
さらに、資産配分の見直しは、投資環境が変化する中での柔軟な対応を可能にし、資産価値の保護にも寄与します。定期的な見直しと調整を行うことで、投資ポートフォリオの健全性を維持し、より良い投資成果を期待することができるでしょう。
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