健康生活ガイド(口腔ケア編)

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私は、公務員時代に歯科衛生に関するセクションを担当する経験がありました。当時は、「8020運動」をスローガンに歯の衛生週間の強化を進めていました。「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」とは、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。当時は、達成者が数十パセントでしたが、現在では半分以上の方が達成しているといわれています。

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口腔の健康は、全体的な健康状態においてしばしば見過ごされがちです。しかし、私たちの一般的な健康を維持し、さらにはシニア世代の健康寿命を延ばす上で、口腔ケアは重要な役割を果たしています。

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重要な4つの視点

このブログでは、口腔ケアの重要性を「全般的な健康との関連」、「健康寿命との関係」、「口腔疾患の予防」、「栄養とのリンク」の4つの視点から考察します。

全般的な健康との関連

口腔の健康は、美しい笑顔を持つことだけではありません、それ以上の重要な影響を持つものです。口腔の健康が悪化すると、心疾患、糖尿病、呼吸器系の疾患の他に、認知症の悪化の原因にもなるとされており、様々な重大な健康問題を引き起こす可能性があります。これは口腔内の細菌が血流に混入し、体の他の部分に影響を与える可能性があるからです。

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例えば、口からの細菌が血流に入り、心に達すると、心内膜炎やその他の心血管疾患などの状態を引き起こすことがあります。これは本来口腔内に留まるべき細菌が全身を巡る可能性を示しています。

同様に、歯周病(歯肉病)は血糖コントロールに影響を与えるため、糖尿病と関連しています。糖尿病患者は歯周病になりやすく、また歯周病は糖尿病の管理を難しくする可能性があります。

これらのことから、良好な口腔衛生を保つことは、口関連の疾患を予防するだけでなく、全体的な健康と長寿を確保することにもつながります。口腔の健康は全身の健康に密接に関連しているため、日々の口腔ケアは非常に重要です。

健康寿命との関係

近年の研究で明らかになってきたことは、口の中の健康が健康寿命に大きく影響しているということです。口の中の健康とは、歯の数や形だけでなく、咀嚼や嚥下などの口腔機能を含む概念です。口腔機能は、「食べること」や「人との交流」の二つの重要な役割を果たし、社会生活を営む上で欠かせません。

口腔機能が低下すると、食べ物を十分に噛むことができなかったり、飲み込み際にむせることがあります。これにより、食事の楽しみが減ったり、栄養摂取が不十分になったりします。また、口内の細菌が増えて歯周病やむし歯を引き起こし、誤嚥性肺炎などの全身の病気のリスクを高めます。さらに、口の中の乾燥や痛みがストレスとなり、話すことや笑うことが難しくなると、精神的な不安や孤立感を感じることがあります。

これらの問題は、シニア世代が直面するフレイルという状態に繋がります。フレイルとは、加齢による心身の活力低下が進行し、要介護状態になるリスクが高まる状態を指します。フレイルは、身体的な問題だけでなく、精神的・心理的または社会的な問題も伴い、生活機能障害、要介護状態、死亡などのリスクが高まります。しかし、早期に介入し適切な対策を講じれば、元の健康な状態に戻る可能性があります。

口腔疾患の予防

口腔疾患の中で最も一般的に見られるのは、虫歯(空洞)と歯周病で、これらは適切な口腔衛生習慣を通じて大部分が予防可能です。具体的には、ブラッシング、フロッシング、定期的な歯科検診などが重要な役割を果たします。これにより、虫歯や歯周病の予防だけでなく、全体的な口腔の健康維持にも寄与します。

特に、1日に少なくとも2回のブラッシングは、口腔内の細菌やプラークを除去し、歯垢の形成を防ぐ基本的な予防策です。フッ化物入りの歯磨き粉を使用することで、歯を強化し、虫歯のリスクを減らすことが可能です。また、毎日のフロッシングは、ブラッシングだけでは取り除ききれない食べ物の残りや細菌を取り除くことができます。

私は、1日5回程度のブラッシング、フロッシングを行っています。しかし、どうしても歯石がつく場合があるので、年数回程度の歯科検診も必要ですね。

さらに、定期的な歯科検診は、口腔の健康問題の早期発見と早期治療に重要な役割を果たします。これは、口腔疾患が進行する前に対処するため、絶対に欠かすことができません。

これらの予防策を通じて、口腔疾患を予防し、より良い生活の質を確保し、健康寿命を延ばすことに寄与します。これは、口腔疾患が全身の健康に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要です。

栄養とのリンク

口腔の健康と栄養の摂取との間には、密接な関連性が存在します。口腔が健康でない場合、歯が痛む、欠けている、または適切に機能しないなどの問題が生じ、これが食事の選択を制限する可能性があります。その結果、栄養状態が悪化し、全体的な健康に影響を及ぼす可能性があります。

例えば、歯がない状態や不適合な義歯の場合、新鮮な果物や野菜、低脂肪の肉、全粒穀物など、健康に必要な食品を摂取するのが困難になります。これらの食品はビタミン、ミネラル、その他の重要な栄養素を豊富に含んでおり、健康的な食生活には欠かせません。

一方、口腔が健康であれば、これらの栄養素が豊富な食品を自由に摂取でき、バランスの良い食事を確保することが容易になります。これは全体的な健康や長寿に大いに寄与します。

したがって、良好な口腔の健康を維持することは、健康的な生活を送るために必要な適切な栄養を確保する上で重要な一歩となります。口腔の健康は、一見すると単なる口内だけの問題のように思えますが、全身の健康状態と深く結びついています。

まとめ

口腔ケアは、私たちの健康寿命を延ばすために非常に重要な役割を果たしています。それは、美しい笑顔を維持するだけでなく、全身の健康を保護し、様々な疾患から私たちを守るだけでなく、適切な栄養摂取を可能にするためのものです。

良好な口腔衛生習慣を継続的に実践することは、いつでも始めることができ、その効果は身体全体に及びます。たとえば、定期的なブラッシングとフロッシングは、口腔内の細菌を減らし、虫歯や歯周病を予防します。これらの習慣は、口腔内だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼします。口腔の健康が悪化すると、心疾患や糖尿病などのリスクも高まるとされています。

また、適切な口腔ケアは、栄養状態を改善します。口腔の問題があると、食事の選択が制限され、栄養バランスが崩れる可能性があります。しかし、口腔が健康であれば、必要な栄養素を豊富に含む食品を自由に食べることができ、全体的な健康状態を高めることができます。

したがって、健康寿命を延ばすためには、日々の口腔ケアが重要です。それは美しい笑顔を維持するだけでなく、全体的な健康を保護し、疾患を予防し、適切な栄養を確保することについてもです。良好な口腔衛生を習慣化することは決して遅すぎるということはありません。

私たちの健康に関しては、小さな一歩が大きな意味を持つことがあります。そして、ブラッシングとフロッシングのような小さな行為が、健康な生活を確保するための大切な一歩となることを忘れないでくださいね。

 

参考文献

・肺炎予防と口腔ケア J-STAGE(日本環境感染学会誌)

一般社団法人日本口腔ケア学会<公式サイト>
口腔ケアに関する論文・学術大会・フォーラム・研究会情報などを発信
日本歯科医師会
我が国の歯科医療及び社会福祉の発展向上に努めています。
「令和4年歯科疾患実態調査」の結果(概要)を公表します
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